ある疾患を集めてまとめを発表したがる研修医
(2014年2月11日 14:04)
毎週月曜日は研修医が症例発表をする日です。各科の指導医が総勢30名程度集まる大きな会になっています。2年間で10回も発表すれば、実際の学会発表のスライド作りも、考察の内容を検討するところから始められるくらいになり、指導する方も楽ちんです。どの科に進み、どのような医者になるとしても、症例発表をまとめる力は必須でしょう。

臨床に慣れて余裕が出てくる時期になると、「たまたま経験した一例」は単純で面白くないな、という気持ちが出てきます。特別優秀だったり、いつも病院に寝泊まりするようなcrazyな研修医ではなく、普通の2年次研修医から「似たような症例を集めてまとめたいんです」という要望が出てきます。指導医側は、全力でその要望に応えます。

複雑性尿路感染症、上腸間膜動脈閉塞症、低体温症など、それぞれのテーマを元にして、電子カルテで遡ることのできるここ何年かの症例を集めます。年に1万台の救急が来るので、取り寄せた論文よりも自分たちの症例数の方が多かったりします。例えば50例のカルテを何度も見返して、その分析から自分たちの臨床を振り返り、できている部分や不十分な部分を発見します。

徳洲会は忙しいので、教育される暇がないとか、勉強する暇がない、というイメージを持たれていますが、実際に初期研修の間に何をしているか、むしろ比べて欲しいと思います。症例発表する数、学会発表する数、一例報告以上のまとめをした経験など、数値で示すことができるだけの実績があり、なおかつ現場での実力がつくような研修が他にもあるなら、ぜひ参考にしたいものです。

教育と理論だけでは、患者を救うことはできません。同様に、ただ体や手が動くようになるだけでも、患者を救うことはできません。Clinical and Scientificに振る舞う医師になることが重要です。