俺のお前のバレンタイン
(2018年2月13日 18:38)
※以下の文章は、所属する団体、病院の意見は何一つなく、全て個人の一意見です。

2年次研修医、住吉です。

今年も2月14日がやってきましたね。
バレンタイン。
もう、この人生で、2度とバレンタインについて誰かに述べる機会もなさそうですし、今回は、これまでのブログの中で、圧倒的な長文をもって、病院の宣伝にも勧誘にもならない、私個人のバレンタイン論を語りたいと思います。
先に警告です。めちゃくちゃ長いです。いつもの5倍くらいの文章です。読むのをおすすめできません。

完全に悪ふざけですが、前回の文章が真面目だったし、許してください。


はっきりいいましょう。私はバレンタインが嫌いです。

こういう発言をすると、結局チョコももらえない奴が世間に嫉妬して、現実逃避として、こういう発言をしているのだと思われます。まずもってこれがバレンタインを嫌う理由の一つです。
ちゃんと言っておくと、女の子からチョコを貰うのは正直テンションが上がります。
さて、ここまでくると、いよいよ皆はこう思うでしょう。

「お、住吉、やっぱバレンタイン好きなんだ?あ、でももらえないから嫌いなフリしてるんだ?うわあ、みみっちい。。しかもブログでこんな事書いて、いざもらったら喜ぶんだ。。というかそもそも、チョコ貰うためにブログ書いてるんじゃない?うわあ。。」

違ってもいないのですが単純な話ではないのです。

きちんと説明します。

はっきりいいましょう。この人生、私のバレンタインは無双の一言です。
そりゃそうです。知り合いも多ければ、そこそこ明るいですし、正直クラスのスターといえば、私を思い浮かべる人たちが少なからずいるような人生でした。
高校の時は部活で女子部員もいましたし、大学はマネージャーたくさんいましたし。
しかも、僕に渡しても、誰も本命だなんて思いません。こうなればチョコを渡すハードルの低さ半端ないですもん。
部活やら、クラスの人やら、後輩やら、そして留年をすることで更に知り合いも増えましたし、挙句は自分ちの病院の看護師さんからも貰ってました。
看護師さんは身内だとしてノーカンにしたとしても、数だけはドラフト8位レベルのプロ野球選手よりは貰ってました。

しかし、本命と思しきものは一つもありませんでした。というか、本命チョコっていうのは現代に存在しているのでしょうか。まあ、別に本命貰えなかったから、バレンタインどうのこうの言っているわけではありません。

なんだか、バレンタインのイベントに混ざるのが嫌で、いつかのバレンタインの日にわざと大学休んでパチンコに行ってみました。
すると、途端にもらえる数は減りました。
それもそのはず、彼女たちの多くは、私にチョコを用意しているわけではなく、適当に数を作り、そしてバレンタイン当日に、飢えた男子共に配布する、「チョコ配給制度」のもとに、チョコを配っていたに過ぎないからです。
別に、何かを期待してたわけではなかったはずですが、この辺で、私のバレンタインに対する感情は、冷たくなったのを覚えています。
ああ、今までたくさんもらってたのは、そこに僕がいたからくれたのであって、別に僕に渡したいわけではないんだなあと。
そのあと、大学にきて、昨日住吉いなかったから、とチョコをくれた人が何人かいましたが、この時ほど、こいつらなんていい女なんだ、と感動したことはないかもしれません。

21の時に、留年しましたが、正直、20超えたら、もう誰もバレンタインなんて言葉を発するとは思いませんでした。
しかし、現実は逆で、大学でのバレンタインデー祭は加速をしていきました。

なるほど確かに、男子校や女子校の人達は、そもそもこういったイベントが初めて。
しかも、医学部は高学年になると実習やら勉強会やらクリクラやらで、今まで接したことのない人とも話す機会が増えます。
すると、2月14日は、学生の控え室とかで、まず女の子同士で友チョコを渡すのが始まります。
正直これ、すごく困ります。
なんかそっち見ると、なんな住吉チョコ欲しいんかと、思われてしまいそうですし、かといって、見ないようにしてる自分を俯瞰で見たときに、バレンタインを意識しないように努めてるやつみたいに映ってくるのを考えると、吐きそうでした。
簡単に言うと、正しいリアクションがわからなくなってしまってたのです。
元学年の時なら、そういう空気とか、意識するしないを考えるのが面倒だったので、チョコが欲しいキャラを演じ、えー僕にも頂戴ようとか言って、そのモヤモヤ感を払拭していました。
ああ、私はなんてピエロなんでしょう。
しかし、元後輩の学年では、こういう感じで接することすらできなくて、折角チョコをもらっても微妙なリアクションだった気もします。
一緒に実習回ってたやつが、

「今年のバレンタインは日曜日ですけど、皆12日に配るんですかね?それとも月曜日ですかね」

とか楽しそうに言ってるのも、どう答えればいいかわかりませんでした。ああ思い出しただけで吐きそう。

でもまあ、これだけいっといて何ですが、最初に言ったとおり、チョコをもらうと、正直テンションはあがるのです。
しかし、私の戦いはここからなのです。

私は何を隠そう、甘いものが苦手なのです。
かわいい子にトッポをもらって食べるようになってから、チョコだけは克服しました。
一応、僕の公式プロフィールでは、いつかもてた時のためにバレンタインで困らないようにチョコだけは食べられるようにした、という設定になっています。それも強ち嘘ではないかもしれません。
今でこそ、大概のものは食べられるようになりましたが、それでもチョコ以外は苦手なものが多いのです。

そして、さらに、これは全面的に私がおかしいのですが、手作りのものとか無理なのです。
好きな人の手料理とかはなんともないのですが、人の握ったおにぎりとか、どのように作られたかわからないスイーツなどは、食べるのを憚られます。
失礼なのは分かっています。
ただこれはもう体質です。文化です。欧米人がごぼうを食べないのと同じです。

それにつけて、バレンタインの手作りの、なんかよくわからないフルーツのせてくれたり、一見美味しそうなケーキだったりも、私にとってはこれはもう我慢大会に等しいです。
親の育てかたがよく、もらったものは残してはいけない、という倫理観を辛うじて植えつけられていたので、もらったチョコやらお菓子やらは全ていただきました。ありがとうございます。
手作りのものを渡したい気持ちは、これはすごくわかります。
高校生の時、部活の同期の男だけで、ホワイトデーのお返しとして、手作りクッキーを作ったことがありました。
多分味なんかは微妙だったと思うんですけど、配るときに少し朗らかな気持ちだったのを覚えています。
なので、私はその気持ちを思い出し、残さず食べます。
しかし、それは倫理観と、正義感と、自分の忍耐とに板挟みにあった、葛藤の味を飲み込みつつ、舌に乗せることが多かったのです。

働き始めて、社会人のバレンタインは落ち着いているなと思います。好ましいことです。研修医でなくなれば、さらに落ち着くと思います。
勿論もらえると、嬉しいです。しかもくれる人はやはり大人ですので、市販の物が多いのでさらに嬉しいです。というか、この年になってくると、手作りでも大丈夫になってきました。甘いものも、なんなら好きになってきたくらいです。
私もバレンタインを幾度と経て、成長したのだと感じます。
でも別に貰えなかったとしても、特に悲しい気持ちになったり、悔しい気持ちになることはありません。
私のバレンタイン感は、行くところまで行っているのです。

2年次の片山先生とかが、俺は〇〇さんにもらった、お前らもらってないだろ、とか自慢することがよくあります。
若い頃の私なら、いや、おれバレンタイン興味ないから、別にいいから。なーんて、みっともない言い訳というか、説明というか、そういう返答をしていたかもしれません。
ただ今ならわかります。僕にもバレンタインに対する思いがあるように、誰しも皆、一人一人のバレンタイン論があるのでしょう。
そして、その考えを否定することはナンセンスです。
と、いうより、世間で正しいのは、片山先生の楽しみ方でしょう。最も健全で、皆が幸せになるリアクションだと思います。

世間の、バレンタイン不要者の皆様。気持ちはわかります。僕は一回も思ったことないですけど、お返ししなければいけないのが嫌とか、面倒とか、腹がたつ、という人もいるのでしょう。いいんですいいんです。それがあなたのバレンタイン論なのですから。
バレンタインに興味はないけど、お返ししないといけないのが嫌ってのは普通の感情です。健全です。
ずっとお返ししなければ、そのうちバレンタイン貰わなくなるのに?とかいうつもりはありません。
でも、バレンタインを楽しんでいる人を否定しても仕方ありません。これはこれで、社会の一大イベントなのですから。
いくつもらったとか、誰にもらったとか聞かれるのが、煩わしい?それはまだ私のステージまで登りつめてないのでは?バレンタインに興味が消えたなら、その辺の悩みは消滅するか、無関心になるかと思います。バレンタインに怒りを抱く、ということ自体がバレンタインに関心を持ち、感情をぶつけている、ということなのですから。

バレンタイン大好きな男たち。あなたたちのリアクションは素晴らしいです。大人になるにつれ、みんなそういう気持ちが減ってくるのだと思います。そんな中、情熱のあるバレンタイン論を抱いていることは賞賛に値します。
これからもその弛まぬ思いで2月14日を迎えてください。ただ、世間の皆が誰しもバレンタインを待ち遠しくしてるわけではないみたいです。残念です。でも、幸せなのはあなたです。ハッピーバレンタイン。

そして女性の方々。
こんなしょうもない文章は気にせず、今まで通り楽しんでバレンタインを迎えてください。
もちろん、職場に用意するのめんどくせー、とかそういう人が多いのも分かっています。確かにバレンタインは貰う側も、渡す側も、強制されるようなイベントでは良くないと思います。仕事関係ならそういったこともままあるかもです。
難しいですね。解決策とかはわかりません。ごめんなさい。でも、渡すと決めた人も、用意しないと決めた人も、バレンタイン、頑張ってください。


デパートにいくと、沢山の人がチョコを買いに、溢れていました。
僕もひとひらのチョコを買って、食べてみました。
甘い気持ちになりました。
がんばろうと思いました。

ではまた。